2020年12月30日水曜日

新型コロナウイルス感染症について考えましょう 5 ワクチンとも関係する免疫の話の一部分

 12月18日に 日本医師会COVID-19有識者会議のページに

こんな記事が掲載された。

日本人における新型コロナウイルスIgM,IgG,IgA   蔵野信 矢冨裕


 抗体検査は 現在の日本では 新型コロナウイルス感染症の診断に用いられていない。 ピントかない人も多いかもしれない。  しかし、各個人 あるいは 集団における 既感染の有無を みるのには 大変有用。また 著者は感染症の予後を予測するうえでも重要な検査となりうると 言っている。 題目にある IgM,IgG,IgAというのは 抗体のことです。人体がつくる 分子の形で分けた分類の名前です。 PCR検査は、DNAやRNAの塩基の並び方で区別をして 新型コロナウイルスRNAを見つける検査です。 

抗体検査は 新型コロナウイルスの塊の一部分が人体の中で反応して 人体が作り出す免疫グロブリン をいう 物質の濃度 や 性状を 調べる検査です。 免疫グロブリンに対応するウイルスの タンパク質は いろいろあります。とげとげの部分のタンパク質、染色体のまわりのタンパク質、ウイルスの殻のタンパク質、などなど です。新型コロナウイルスだけに反応するタンパクもあれば さまざまなコロナウイルスに 反応するタンパクもあります。 そして それぞれのタンパク質の分子の形によって IgMとか IgGとか、IgAが あります。

この記事でしらべたのは 日本人COVID-19患者におけるIgM,IgMを測定したわけです。抗体試薬はYHLOという会社が作った試薬です。 また covid-19患者さんで 発症前の血清が残っていて調べることができた方もおられます。


臨床の場でウイルス感染の有無を調べるのに、ペア血清 を 取ることがよくあります。 時間の差で その人の抗体が 増えていれば ウイルスに感染したということを 確実に証明できるという検査方法です。

IgM抗体、IgG抗体は 時間の経過とともに変わっていくことが知られています。

一般的な話ですが 新型コロナウイルスにかかわらず、ウイルスに初めて感染すると 人体の中では まず 先に IgMの形をした抗体がつくられ、そのあとでIgGの形をした抗体が つくられます。

ところが この 研究で 日本人における新型コロナウイルスに対する抗体の変動は、IgGの上昇がIgMの上昇よりもはやい例が多いということがわかってきました。新型コロナウイルスに反応する抗体を新型コロナウイルスに感染する以前に作ったことがあるということです。 著者は日本人COVID-19患者において

交差免疫なし:IgMが先行するあるいはIgMのみが上昇するパターン

交差免疫あり:IgGが先行するあるいはIgGのみがじょうしょうするパターン

不明:その他

という不意に分類しています。50-100例の血清を調べた うち 交差免疫ありが4分の3を占めています。 新型コロナウイルス分子のどの部分が交差して免疫を持っているのか詳細は分かりませんが。  日本人のどの集団を代表しているのかも 詳細はわかりません。 しかし、新型コロナウイルスのどこかの部分に対する抗体を持った人が たくさんいるかもしれないという ことは 驚きです。   人体からウイルスを排除したり、共存したり していくうえで 貴重なデータです。


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