2020年5月5日火曜日

第ⅳ相試験フェーズ4 臨床医がどう薬と向き合うか。

薬の勉強前回第Ⅲ相試験試験までお話ししました。

再度掲載します。

暇な人へ お薬のお勉強
新型コロナウイルス感染症のお薬 色々報道されているので 皆さん 声が大きい方のお薬はやく使ってくれ と 望んでおられると思いますが、それは間違いのことが多いです。
既に発売されたお薬について アビカンなど

お薬が開発され実際に販売されるまでに 様々な 過程が必要です。
すでに販売されているお薬は
 医薬品の安全性を調べる試験(単回投与毒性試験、反復投与毒性試験、生殖発生毒性試験、癌抗原性試験、感作性試験、局所刺激性試験、遺伝毒性試験)がすんでいます。
 副作用を予測する試験(薬物動態試験)がすんでいます。
 
臨床試験 第一相試験 フェーズ1 (人での吸収、分布、代謝、排泄、有害事象、副作用を調べる) が すんでいます。
第2相試験 フェーズⅡ 少数例の患者に投与 有効性、安全性、薬物動態の検討する。
これは すんでいません。 対象患者が異なります。病気のどの状態に有効なのかも不明です。 現在 新型コロナウイルス感染症の患者に対して 既存の薬を投与しているのは この段階と考えて良いでしょう。

第Ⅲ相試験 フェーズⅢ 検証的試験  大規模臨床試験です。有効性の検証 安全性の検討を目的とします。 これは他施設、時には多国間で行われます。デザインも難しく、お金も非常にかかります。

いま色々な薬が候補に上がっていますが 新型コロナウイルス感染症と言う病気のどの病態に対して効果があるのか 不明です。フェーズⅡを手探りの段階で行っていると言って良いでしょう。

例えば 新型コロナウイルスの人の体の中での量を減らす、ウイルスの侵入を防ぐ、上気道感染から肺炎になるのを防ぐ、間質性肺炎の悪化を防ぐ、間質性肺炎に対して起きる過剰な免疫反応を抑える、軽症から重症化しないようにする、重症化しても死ななくする、肺の機能の悪化を抑えたり、回復したりする、などなど 色々なところに それぞれのお薬が関わってくると想像しながらフェーズⅡを行っていると思われます。

一般によく使われる市販の風邪薬の漢方薬 葛根湯と小青竜湯について見てみましょう。
2つとも風邪薬ですが全く使われ方が違います。
 葛根湯は 風邪のひき始めゾクゾク寒気がする時に使います。
 小青竜湯は ひき始めと言うよりより くしゃみや鼻水が沢山出て困る時に使います。

新型コロナウイルス感染症は 風邪症状で治ってしまう方もおられます。風邪症状なくいきなり間質性肺炎を起こす方もおられます。味覚障害、嘔吐、下痢症状の方もおられます。

薬が効くと マスコミが騒いだり、SNSで拡散していますが 何にも知らない人が大声を出しているだけです。振り回されないようにしましょう。  


レムデシベル は 日本 シンガポール アメリカ合衆国で 他施設、多国間で 新型コロナウイルス感染症の なにか に 対する 第Ⅲ相試験が 行われていたはずです。
第Ⅲ相試験はメーカーと 超有名大学教授や学会会長歴任者などが 中心、コーディネーターなどをして行う試験です。100億円や200億円はかかると思います。今どうなっているかは 中心人物でないとわかりません。 そして規制当局の審査を受けて 官報に載り医薬品として販売が可能となります。 この審査が通らないと莫大な損失となるのでメーカーは必至です。大変綿密な計画を立て 必ず審査が通るような証拠を出します。

その様な経過をたどって 発売されると MRは臨床医に宣伝をしてお薬を売り込みます。きれいなパンフレットも作成します。講演会、勉強会がホテルで繰り広げられます。
 勉強好きでない臨床医は 論文は読まず、パンフレットと講演会、とMRの印象で お薬を買い使い始めます。

 そこで行われるのが第ⅳ相試験フェーズ4です。製造販売後の臨床試験です。 臨床医は多様な患者に投与します。 第Ⅲ相試験では検出できなかった 有害事象や副作用が出ることもあります。これはメーカーを通してあるいは直接厚労省に報告します。私は内科医だったのでたくさんのお薬を使いました。 薬の効能書きに書いてない副作用の経験しました。 それらは 薬と関連していると認められると、効能書きに追加されます。 私は2回 自分の経験したことが効能書きに追加された と 思っています。 臨床医は第Ⅲ相試験の様にダブルブラインドをやるわけにはいきません。 しかし、1例1例大切に 患者さんの 反応を 見ます。 時系列で見て行くと ある所見が 薬と関わっているのではないかと 気づくもんです。  いい加減に 見ている医者は気づかないと思います。
 時には生死に関わる所見が出てきたりその頻度が報告されていたこととは違っていたりすると すぐりイエローカードが出されます。 アホな医者で、イエローカードを無視して薬を使っている方もおられます。
 時にはあまりの副作用で販売が1ヶ月ほどで中止となる薬もあります。 でも 第Ⅲ相試験で使ったお金を 既に取り戻してしまっているメーカーもありました。 

 お薬は 高額で 一般の人には信じられないくらいの お金が動く世界です。
 


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