2021年6月24日木曜日

本 老いる意味 うつ、勇気、夢 森村誠一 著 中公新書ラクレ

 私は 森村誠一氏の 著作による テレビのサスペンスドラマが 好きだ。 小さな物的証拠が なぜ 起こったのかを 考える。ある人の何気ない癖のような振る舞いが その証拠を作ったのだと 推理する。 そして 刑事がそのある人にたどり着く。 そんな ドラマが 多い。 人の行動の特徴を日頃から観察していないと 思いつくような筋立てではない。

そんな森村誠一さんが うつや認知症になり、 回復していく。 はじめに、と第一章の 森村さん自身が 経過を書き込んでいる。 私は 医師として そこを興味深く読んだ。  

 森村さんの認知症やうつのさまざまな症状が 結構森村さん特有のものに見える。 発症が急峻だ。  ご本人はつらい思いをし 自分自身を分析し 努力をしている。 そして 病状が 悪化と改善の繰り返しではなく 一旦進行したものが ゆっくりと回復していくように

書かれている。  普段よく遭遇するアルツハイマー型認知症の発症と経過とは 異なり、小さな脳血管障害によって起きる 認知症やうつ症状では ないか と 思えてくる。 脳のどの部位が侵されると 森村誠一さんのような症状がでるのか とても、知りたくなった。 主治医の名前は伏せてある。もしも 画像診断や機能的なことのわかる脳画像が あれば 知りたいものだ。 特に経過の画像もあれば それに越したことはない。

初期のアルツハイマー型認知症は改善することがあるので早期治療が重要だと教科書的には書いてあるが それとも異なるように思う。

 と 私の 勝手な想像だ。けれど鋭い人間観察のできる作家の書いたものは 大変貴重だ。

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