2019年1月28日月曜日

本 へたも絵のうち 熊谷守一著 平凡社

p109
しかし東京にでたいと思っても上京の金がありません。仕方なく昔の友だちに相談すると肖像画をかけば金になるといいます。それも写真をみてかけばいいので簡単だという。それではそうしようと思い、その友だちに肖像画のくちを二つ紹介してもらいました。
p114
戦後の話ですが、夕暮れの太陽だけをカンバスの真ん中に描いた絵を展覧会に出したら、武者さんはそれが気に入らなくて、「そんなアホらしい絵をよく平気でだすな」といってました。黒のバックの真ん中に薄い桃色とオレンジ色で丸い太陽を描いたもので、私はおかしくないと思うのですが、武者さんは断じておかしいといったそうです。 私はこの絵を「自画像」と言っていました。私も人生の夕暮れに立っているので、そう言ったのです。

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